【書評】『手書きの戦略論「人を動かす」7つのコミュニケーション戦略』

1月 17, 2021

手書きの戦略論 「人を動かす」7つのコミュニケーション戦略

本業がディレクションをメインにしていることもあって、広告などのクリエイティブな領域における「人を動かす」コミュニケーション戦略という部分に惹かれて読んでみました。

概要

この本は、コミュニケーション戦略をわかりやすく体系的にまとめた解説本です。
コミュニケーション戦略は、マーケティング戦略の一部であるということもできますが、
それでは不十分と思えるほど、その領域は拡大し、重要性は増しています。
以前は広告戦略と呼ばれていたものが、時代に合わせて拡大進化したのが コミュニケーション戦略です。

では、コミュニケーション戦略とは、具体的に何を指すのでしょうか?

ある人は「ポジショニングのことでしょ」と言います。
別の人は「戦略って、ブランディングでしょ」と言います。
また、「今の時代、カスタマージャーニーをつくることが戦略だよ」と言う人もいます。
どれも間違いではありませんが、それぞれコミュニケーション戦略の
ひとつの側面を語っているだけで不十分。
コミュニケーション戦略には、このように“複数の流派"が併存しているのです。

本書は、コミュニケーション戦略を「人を動かす心理工学」と捉え、
併存する様々な戦略・手法を7つに整理し、それぞれの歴史的変遷や、
プランニングの方法を解説します。
各論の専門書を読む前に、体系的にマーケティング・コミュニケーションについて
学ぶための一冊として、ご活用ください。

宣伝会議社の商品紹介より
著者紹介
磯部光毅

アカウントプランナー

1972年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、1997年博報堂入社。ストラテジックプランニング局を経て、制作局(コピーライター)に転属。2007年独立し、磯部光毅事務所設立。主な仕事に、サントリー「JIM BEAM」「ザ・プレミアムモルツ」「伊右衛門」「伊右衛門特茶」、トヨタ自動車「G's」、ダイハツ「タント」、コーセー、KDDI、Google、味の素、AGF、花王、ティファニー、ブリヂストン、三井不動産、カルビーなど。ブランドコミュニケーション戦略を核に、事業戦略、商品開発からエグゼキューション開発まで統合的にプランニングすることを得意とする。受賞歴にニューヨークフェスティバルズAME賞グランプリ、ACC CMフェスティバル ME賞メダリストなど。著書に『ブレイクスルー ひらめきはロジックから生まれる』(共著、宣伝会議、2013年)、『アジアマーケティングをここからはじめよう』(共著、PHP出版、2002年)、『ニッポンの境界線』(共著、ワニブックス、2007年)がある。

目次

はじめに
 ・いま、コミュニケーション戦略が、いちばん面白い
プロローグ コミュニケーション戦略とは、人を動かす戦略。
 ・戦略論は折り重なり、『7層構造のミルフィーユ』になっている。
第1章 ポジショニング論 「違い」が、人を動かす
 ・〜お客さんの頭の中で、競合と違った位置付けを得る戦略
第2章 ブランド論 「らしさ」の記憶が、人を動かす
 ・お客さんの頭の中に、そのブランドらしさの連想構造をつくり、記憶に残す戦略
第3章 アカウントプランニング論 「深層心理」が、人を動かす。
 ・〜お客さんの隠された本音を探りあて、動機付ける戦略
第4章 ダイレクト論 「反応」の換気が、人を動かす
 ・〜お客さんの直接的な反応を受け止めながら、長期的な関係をつくる戦略
第5章 IMC論 「接点」の統合が、人を動かす
 ・〜お客さんとの複数の接点をつなぎ、最適なメッセージ、施策を出し分ける戦略
第6章 エンゲージメント論 「関与」が、人を動かす
 ・〜お客さんが自ら関わりたくなるような施策を通して、共感しあう関係を作る戦略
第7章 クチコミ論 情報の「人づて」が、人を動かす
 ・〜ソーシャルメディア上で、情報が信頼と共感を伴って拡散することを担う戦略
最終章 7つの戦略を俯瞰する
 ・「戦略の統合」が、人を動かす
参考文献
あとがき

『手書きの戦略論』目次より

書評

概要

広告というよりマーケティング、コミュニケーションという観点から歴史的にどのような戦略が生まれてきたのか?それぞれの戦略とは何か?強み弱みは?ということを丁寧にまとめた本

感想

これを読んだからといって明日から何かができるような実践的なものではないですが、マーケティングやコミュニケーションに関わる人は教科書・教養として最低限身につけるべきものだと思いました。

少し複雑になりそうな説明などもタイトルにある「手書きのイラスト」がかなり分かりやすいのですごく理解しやすいと思います。

読んだ方がいい人

結構量が多い本ではありますが、各章の最後にまとめがありますし、手書きのイラストもあるので、時間がなくとも概要を把握するなら短い時間で俯瞰できますので、冒頭でも話したようにいわゆる「教科書」的に活用して行くのがうまい使い方なのかな?と思いました。