【書評】『グルメ多動力』飲食の専門家ではない視点が面白い

3月 7, 2021

ホリエモンが書いた飲食店の経営に関する本。IT業界で長く活躍していたホリエモンなのでネットサービス活用はもちろんのこと、飲食の専門家ではない視点から出てくる素直なぶっちゃけ意見が面白い本でした。

概要

全てのグルメ、飲食店経営者は必読の一冊です。現在のレストランシーンを取り巻く環境から、どうやって人気店を作り、利益を出していくのかまでの具体的提言が並んでいます。
インスタ映えの方法、断面イノベーション、予約ループといった重要キーワードから、無人コンビニの拡大と居酒屋の淘汰、これから流行するコト・モノ、究極の飲食店業態まで、知っておきたい事柄が満載です。
さらに、グルメ界に「登山」という言葉を生んだ「肉山」グループを率いる光山英明氏や、日本中から美食家が訪れる富山「鮨人」木村泉美との特別対談も収録。巻末にはこの1年で堀江氏が訪れたお店リストも付いています。
はたして、これからの飲食店に最も必要なのは何なのか。
その答えがここにあります。

『グルメ多動力』書籍紹介から
著者紹介
堀江貴文

1972年福岡県生まれ。91年東京大学入学、のち中退。96年、有限会社オン・ザ・エッヂ設立。02年、旧ライブドアから営業権を取得。04年、社名を株式会社ライブドアに変更し、代表取締役CEOとなる。06年1月、証券取引法違反で逮捕。11年4月懲役2年6ヶ月の実刑判決が確定。13年3月に仮出所。著書に『拝金』ほか多数。

ホリエモンのこちらの本の書評も書いていますー!ご興味ある方はこちらもどうぞ。

目次

CHAPTER1 「ドタキャン」「食べログ」「人材確保」問題の現在
 ・ドタキャン対策ビジネスが百花繚乱。小さな店ならLINEグループを使おう
 ・「うどんさん事件」で見えた食べログの弱点
 ・誰もがハッピーな雇用形態を作るべき。外国人労働者はもう、来なくなる
CHAPTER2 Instagram全盛期、SNSの波に乗るのは常識に
 ・開店から「予約が取れなくなる」までのブレイクの時間が短くなっている
 ・意識したいのはレストランでも「インスタ映え」
 ・ハッシュタグをつけなければ意味はない
 ・インスタブームは世界共通。インバウンド集客の起爆剤にもなる
 ・Instagramを使ってお店がやるべきことは
 ・世界観を作り上げ一気にバズる
 ・投稿したくなるシーンを提供するだけ客が無料の宣伝、拡散をしてくれる
 ・天ぷら業界に巻き起こった「断面イノベーション」
 ・「断面」「オブジェクト化」はインスタ時代の重要なキーワード
 ・北九州から話題をかっさらう、インスタ映え最高の「照寿司」
CHAPTER3 2017〜18年、飲食を取り巻くモノ、ヒト、コト
 ・2017年のキーワードは「予約ループ」
 ・食べログ3.7前後はコスパが悪い理由
 ・引き続き、クラウドファンディングが好調
 ・大きく集めるなら外国「Kickstarter」も
 ・東京カレンダーのアプリが教えてくれた「結局コンテンツ」
 ・クラフトJINブームで日本の酒市場が活性化
 ・「オーガニック」「ヘルシー」はファッションだ
 ・糖質制限はもはや常識。ならば対応メニューを考えるべき
 ・US、オージーより安いモンゴル牛は、クオリティも高い
 ・食後のシーシャは快適。出張シーシャビジネスは拡大できる
CHAPTER4 無人コンビニのイートインで飲むのがスタンダードになる
 ・おいしいコンビニの冷凍食品で、激安居酒屋はさらに厳しくなる
 ・地方のホテルはレストランを閉めてコンビニに外部委託するべきだ
 ・アマゾン発の無人店舗でコンビニは新時代に突入する
 ・無人コンビニはメリットだらけ。あらゆる課題が解決する
 ・個人店も機械化を進めるべき。美味しくて効率が良ければ客も歓迎する
 ・アイデアの価値は下がる。大事なのは情報を選ぶセンスだ。
CHAPTER5 最も大事なのはコミュニケーション能力である
 ・ライザップの採用基準は技術よりもコミュニケーション能力
 ・コミュニケーション能力で寿司屋を成功させたある男の話
 ・「ヤツらは情報を食っている」
 ・おいしさは、情報と、それを伝えるコミュニケーションの中にある
 ・究極の業態を作り上げたラーメン「一蘭」独自のコミュニケーション法
 ・結論。「究極の飲食店」スタイルはスナックにある
CHAPTER6 今ある店舗を進化させる、進化した店を出す
 ・お客さんも自分も楽しいSNS時代だからこそのイベントを実行してみる
 ・「店舗を持つ」というリスクを回避する、ポップアップや間借りという考え方
 ・思い切って労働形態を変える勇気を出して休みを取り、たくさんの景色を見る
 ・家賃が惜しくて休めない。ならば、家賃も食材費も安い地方で開業するという選択
 ・本気で儲けたいなら海外出店だ。必ず儲かる国がある
 ・多くの人が喜んでくれる場所に出店する。それが稼ぎを産むのだ。
CHAPTER7 最近行って「なるほど」と思ったお店
 ・酒飲みにはたまらない。ついもう1杯飲みたくなる東京のユニークなお店
 ・フォトジェニックメニューもある気の利いた寿司の新店
 ・「行かれない」ことが勝ちになる幻のようなレストラン2店
 ・老舗、新店。全国津々浦々で食べた、個性的な「名物」たち
CHAPTER8 堀江貴文 x 光山秀明
 ・「焼酎とホルモン、手頃に食べられたらええんちゃうかって程度ですよ」
   伝説の「肉山」も修行なしで誕生した
 ・「肉山は1店舗月3万円。みんな感謝して持ってくるよ
   光山流、多店舗展開のからくり
 ・「2万円出すから、食べログに名前でないようにでけへん?」
   食べログ問題
 ・「ドタキャンに怒るよりも、その席に客を入れることを考える」
   LINE・Facebookでキャンセル対策
 ・「ちょっとお皿持ってきて、なんていうのはLINEで知らせてもらう」
   仕入れ、接客もLINEを活用
 ・「求人は15年間一度も困ったことがない」
   お客さんに声をかけて採用!
 ・「うまく行かなかったら、すぐ辞めて次をやる。その覚悟は絶対必要」
   お店の延命措置はご法度
CHATER9 堀江貴文 x 「鮨人」木村泉美
 ・「今日寿司が食べたい人」がいるだけで場の空気が全然違う」-木村
 ・「本気の遊びから、新しいビジネスが生まれる」-堀江
 ・「町屋や倉庫を改造してホテルに。やり方は無限にある」-堀江
CHAPTER10 「予約の取れない料理店」の予約を手に入れるとっておきの方法
 ・人気店のドタキャン対策とは?
 ・予約の取れない店の元祖といえば…
 ・人気店に行くことで心の隙間を埋める?
 ・グローバル化が予約を難しくさせる
 ・どうすれば予約が取れるのか?
おわりに
特別付録 ホリエモンがこの1年で紹介したレストランリスト

『グルメ多動力』目次より

書評

概要

前作である「なんでお店が儲からないのかを僕が解決する」の続編。

ホリエモンの主張ははっきりしていて、

  • おいしいもの
  • その店に行かないと食べられないもの

を用意しておけば基本的に儲かる、という主張の元に最近話題になった予約ドタキャン問題の対策方法や直近の飲食業界の流行り廃りなどをまとめて紹介した本になっています。

感想や紹介

ITがベースにあるホリエモンなので、話の中身はITの飲食店活用になっていますが、新規にWEBサイトを作るとかお金がかかるような提案はなくて、LINEグループやFacebookページ、Instagramアカウントを作るなど一般人レベルのITリテラシーがあれば少しの時間と手間で利用できるような提案なので、ほとんどの人が取り入れられるようなものばかりになっています。

心に残ったフレーズや内容

その上で、最終的な飲食店の強みは「コミュニケーション能力」って言っているのがホリエモンの面白いところ。

ただ、ホリエモンのドタキャン対策にはあまり賛同はしないですね。

もちろんお店の人がほぼ自力でやる対策としてこれ以外には見当たらないのですが、今では食べログやホットペッパー、ぐるなびなどのプラットフォームがあるので、そちらがいかに対応するかの話になってくるような気がしています。業界的には。

こんな人におすすめ

そういうのもひっくるめて飲食業界ベースの人の提案とはかなり変わった角度での提案が多いので、参考になることっは多いと思います。飲食に関わりつつちょっと視点の変わった意見が欲しい人におすすめ。