【書評】『実務で役立つWBS(Work Breakdown Structures)入門』プロジェクトマネジメント勉強のきっかけになれる本

仕事でプロジェクトマネジメントツールを作っている関係なのと、そもそも普段からプロジェクトマネジメントをやっているのにちゃんと体系的に学んだことがほとんどなかったので、ひとまずとっつきやすそうなWBSの本を読んでみました。
概要
プロジェクトにおける一覧の作業を分解し構造化する手法「ワーク・ブレイクダウン・ストラクチャ(WBS)を、入門者にも理解できるよう丁寧に解説する。WBSは1960年代に登場した概念で、特に新しいものではない。しかし実務に使われ出したのは最近。著者が指摘するように、「ほとんどの人が、WEBの作成や利用における約束をきちんと理解していない」。例えば、ある作業を複数のサブプロジェクトに分解する際、元の作業を100%網羅するよう設計する「100%ルール」などの原則が守られていないとする。40年以上にわたって、米国政府や民間のシステム開発プロジェクトを指揮してきた経験に基づく指摘だけに説得力がある。
日経BP企画より
日本語版では、国内の事例として経済産業省を取り上げ、CIO補佐官である葛西重雄氏のインタビューを14ページにわたって掲載している。葛西氏は、プロジェクトの成否を分けるのはWBSだとし、「今後は入札時の要件としてWBSの添付を義務付ける」と語る。

ホーガン,グレゴリー[Haugan,Gregory T.]
プロジェクトマネジメントに関するコンサルティングや教育を提供するGLH社の副社長を16年間務める。また、40年以上にわたり、政府および民間組織のコンサルタントとしてプロジェクトマネジメントや情報システムの開発を行なう一方、あらゆるサイズのプロジェクトの計画、スケジュール、管理、運営を担う。専門は、プロジェクトマネジメント・システムの実装と適用で、国防総省における初期のWBSやC/SCS(アーンド・バリュー)の概念、PERTコストのソフトウェアの開発などにも参加。また、陸海軍と航空宇宙局(NASA)の共同プロジェクトにおいてマーティン・マリエッタ社(Martin Marietta)の代表として、C/SCSの初期開発に携わる。特に、スコープ、コスト、スケジュールのマネジメント、プロジェクト立上げ、提案書の作成などにおける権威として知られる。アメリカン大学で博士号、セントルイス大学で経営修士号、イリノリ工科大学で機械工学分野の理学士を取得

インテル株式会社エンタープライズ&ネットワークソリューションズ本部ソリューション市場開発部プログラムマネージャ。1986年早稲田大学理工学部数学科卒業後、日本ディジタルイクイップメント株式会社、グローバルナレッジネットワークインク日本支社、日本ヒューレットパッカード株式会社を経て2002年より現職。PMP
目次
本書の刊行にあたって
『実務で役立つWBS入門』目次より
著者まえがき
監訳者まえがき
第1章 WBS入門
・プロジェクトの問題とソリューション
・WBSが生まれた背景
・プロジェクトマネジメント・プロセスにおけるWBS
・この章のまとめ
・重要用語
第2章 基本概念
・100パーセント・ルール
・WBSの構造
・WBS辞書
・ワーク・パッケージ
・適切な詳細度
・具体的な作業への落とし込み
・インプット(リソース)とアウトプット(成果物)
・WBS要素の採番
・そのほかの構造化技法
・主な分解手法
・この章のまとめ
・コラム:アクティビティの特徴
第3章 ライフサイクル計画:プログラムとフェーズ
・ライフサイクル・フェーズ
・ライフサイクルWBS
・米国防省のプログラムWBSとライフサイクル
・プロジェクト内のフェーズ
・この章のまとめ
第4章 プロジェクトでのWBSの利用
・スコープ・マネジメント
・タイム・マネジメント
・コスト・マネジメント
・コミュニケーション・マネジメント
・調達マネジメント
・品質(性能)マネジメント
・人的資源マネジメント
・リスク・マネジメント
・統合マネジメント
・この章のまとめ
第5章 WBSの利用例
・新しい組織管理計画の策定
・異文化 / 多国籍問題の解決
・書籍出版プロジェクト
・晩餐会プロジェクト
・展覧会プログラムの定義フェーズ
・この章のまとめ
第6章 WBSの作成
・WBSの原則
・WBSの作成手順
・WBSチェックリスト
・この章のまとめ
付録A 経済産業省のCIO補佐官へのインタビュー
付録B WBSにまつわるQ&A
付録C WBSとWBS辞書のサンプル
引用文献
索引
書評
概要
プロジェクトマネジメントの中でもWBSに特化して説明している本。
上でも書いたのですが、仕事でプロジェクトマネジメントツールを作っている関係なのと、そもそも普段からプロジェクトマネジメントをやっているのにちゃんと体系的に学んだことがほとんどなかったのもありました。
実務でも要件定義などで抜け漏れが発生するとかなり痛手になるので、プロジェクトマネジメントの勉強として購入しました。
感想や紹介
きちんとPMBOKなどの勉強をしたことがなかったので、前半部分の説明については専門用語が多くてなかなか頭に入ってきませんでした。とはいえ言っていることはすごく有益な内容だったので何度か読み返すことで理解を深めていきたいと思っています。
心に残ったフレーズや内容
実は自分として一番役になったのが付録の部分で、インタビュー形式のためすっと頭に入ってきました。
その中でもQ&Aについてはモデルやフレームワークの説明になるのですが、なかなかこういう情報には触れてこなかったのでここは今後の勉強を広げる上でのきっかけになることができたので有益でした。
こんな人におすすめ
プロジェクトマネジメントの勉強のきっかけとしてはすごく使える本ではないかと思っています。
他の勉強をした後でまた読み返すと違った感想になりそうなので、再読したらまた感想を書こうと思っています。
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