【書評】『お金をちゃんと考えることから逃げ回っていたぼくらへ』一般人ではなくお金持ちがどうお金を考えているかが分かる本

3月 28, 2021

お金をちゃんと考えることから逃げまわっていたぼくらへ

最近、働き方改革に始まって年金問題やNISAなどでお金に関する話が多く出てきているので、それに関する本や記事もよく読むようになったのですが、どうも成り上がり系の話か金融の専門家の話ばっかりでちょっと違う視点からの話も知りたいなと思ってたところで見つけた本。お金持ちがお金についてどう思っているかが分かる本でした。

概要

お金は大事。お金は欲しい。お金が好き…。でも、お金は魔物。そんな魔物のパワーに振り回されそうで、怖くて、お金から目を逸らしてきました。今こそお金を正面から見てみよう。お金について考えてみよう。はじめてお金と向き合った糸井重里が、お金の神様から聞いた、リアルでロマンチックなお金の話。神様が素手で掴んできた人生には、生きるヒント、楽しみや面白さ、誰もが聞きたいことがいっぱいです。「いま、ぼくは、あぶなっかしくて、ちっぽけな旅の途中で、金と動機だけは、なくてはならぬということを、やっとわかったらしいのである。旅に出る朝に、邱永漢さんという先達に、目の前の景色がどういうものであるのか、親切に教えていただいたのは、本当にありがたいことだった。」お金にしがみついてしまう人も、お金に嫌われている人も、これからたくさんのお金と付き合う人も、大人も子ども、必読の書。

『お金をちゃんと考えることから逃げ回っていたぼくらへ』商品説明より
著者紹介
糸井 重里

糸井 重里(いとい・しげさと)。1948(昭和23)年、群馬県生まれ。75年、TCC(東京コピーライターズクラブ)新人賞受賞後、79年に東京糸井重里事務所設立。「不思議、大好き」や「おいしい生活」などのコピーで一世を風靡。広告コピー、漫画の原作、作詞、小説・エッセイ、ゲームソフト制作など、数々の創作活動を行う。98年より、『ほぼ日刊イトイ新聞』を開設し、現在では1日のアクセスが150万件を超える。2012年には、ユニークな企業運営が評価され、株式会社東京糸井重里事務所としてポーター賞を受賞。
著書に『豆炭とパソコン』(世界文化社)、『言いまつがい』『できることをしよう。―ぼくらが震災後に考えたこと』(以上、新潮社)、『ほぼ日刊イトイ新聞の本』(講談社)、『ぽてんしゃる。』『はたらきたい。―ほぼ日の就職論』(以上、東京糸井重里事務所)、共著に『悪人正機』『海馬』『黄昏』(以上、新潮社)、『お金をちゃんと考えることから逃げまわっていたぼくらへ』(PHP研究所)などがある。

著者紹介
邱永漢

邱 永漢(きゅう・えいかん)。1924年3月、台湾台南市生まれ。1945年東京大学経済学部卒業、1946年~54年台湾・香港にて銀行員・貿易商など国際舞台の第一線で活躍。1954年より日本に住む。1955年小説「香港」にて第34回直木賞を受賞。以来、作家・経済評論家・経営コンサルタントとして知名度が高く、また自分でも多数の会社を運営している。現在、Webサイト「ハイQ」を主宰。(http://www.9393.co.jp)。『Qbooks(全25巻)』(日本経済新聞社)『西遊記(全8巻)』(中公文庫)『邱永漢ベスト・シリーズ(全50巻)』(実業之日本社) など、著書は約450冊にのぼる。近著に『次は中国へお金の大移動』『アジアの時代を予言して20年』『もっと中国の研究を』『人民元高に負けるな、中国株』『中国にこれだけのカントリー・リスク』(以上、グラフ社)『マネーゲーム敗れたり』『損をして覚える株式投資』『起業の着眼点』『東京が駄目なら上海があるさ』『相続対策できましたか』(以上、PHP研究所)『非居住者のすすめ』(中央公論新社)『お金持ちになれる人』(筑摩書房)などがある。

目次

糸井重里より、はじめに
第1章 お金について、どう考え始めればいいのですか?
 ・イ お金は怖いものでした
 ・イ そんなぼくがお金のことを考えた
 ・Q 息子には1年分のお金をあげましたよ
 ・イ おこづかいはいくらあげてましたか
 ・Q 男の子と女の子とでは、お金の教育が違ってきます
 ・イ 人間っは、むやみにはお金を欲しがらない?
 ・Q 子どもにはぜいたくを教えるべきです
 ・Q 不良少年なh「何かと、ちょっと早い」だけでしょう?
 ・イ お金は汚いものなんでしょうか?
 ・Q 今のお金の哲学のもとは、徳川時代だと思います。
 ・イ 「包丁一本…」じゃ苦しいですよね
 ・イ 倹約してさえいれば安心なのでしょうか?
 ・Q お金は、貧乏人には大きく見えます
 ・イ 「運」という言葉をたくさん使いますよね
 ・Q 人間は、自分のみたいものしか見ないですから
第2章 事業・株式上場・給料生活・インターネット
 ・Q 株式上場をするほど落ちぶれていないんです
 ・イ 事業って作品のようなものなんでしょうねえ
 ・イ 今は人が欲しいからお金がいるんです
 ・イ 邱さんって考えてることが先すぎるもん
 ・Q 事業は果樹園のようなもので、収穫するまでに時間がかかります
 ・イ 給料生活についてどう思われますか?
 ・Q 大陸の人は給料を払う側になっていきたいと考えます
 ・イ 欲望をないものにしたがりますよね
 ・Q 日本人とは違う生き方が必要でしたから
 ・Q 現地採用のつもりで働いた方がいいんです
 ・Q 学校中退じゃないと、出世できないんですよ
 ・イ 48歳くらいまでやりたいことがわからなかった
 ・Q お金の流れは黄河の流域みたいなものです
 ・イ 依存をしていると、生きていけないですよね
 ・Q 人を採用するのは、怖いです
 ・イ 邱さんの提案を断ったんですけど…
 ・★ 林が深ければ鳥が棲む、水が広ければ魚が泳ぐ
 ・ネットバブルで儲けている人は世間知らずが多いです
 ・★ 「ほぼ日刊イトイ新聞」に邱さんが登場したいきさつ
 ・イ 「ほぼ日」はポテンシャルだけありまして
 ・Q 思ったらすぐに始めます
 ・Q 中国語で顧客を増やします
 ・Q 全部自分でやらないとダメなんです
第3章 人間・邱永漢が知りたくなります。
 ・Q 銀行には頭を下げられませんでした
 ・イ 邱さんのご両親はどんな人でしたか?
 ・イ やっぱり、「ひながた」はあるんだなあ
 ・Q お金をたくさん持つと苦労が多いです
 ・Q 僕の歴史は失敗の連続ですよ
 ・イ 邱さんでさえ惑わされますか?
 ・イ 今までどう惑わされてきたかを聞きたいです
 ・Q 慢心している余裕がありませんでした
 ・Q 権威を等身大で認めています
 ・イ 奥さんがいいこと言うんですよねえ
 ・Q 結婚にも当たり外れがありますね
 ・Q 結婚はダメになりかけていると思います
 ・イ 奥さんとどうお知り合いになったのですか?
 ・Q 隣の家はクレオパトラの屋敷のようでした
 ・イ 邱さん、あのう、さっきの奥さんの話…
 ・Q あるとき、突然僕はお金持ちになったんです
 ・イ 鯉に餌やるみたいですね
 ・Q 人と同じことをしていても意味がないんです
 ・Q いいことは長く続きません
 ・Q 本は、お金儲けの役には立ちません
 ・Q 本当にやりたいことで成功する人は少ないです
第4章 人生というゲームを生きるために
 ・Q 不思議なことに、一番底までは落ちません
 ・Q 心では泣いてますよ
 ・イ 邱さんですら自分を女々しいと思うのですか?
 ・イ 「お金を払うから次も」は困りますよね
 ・Q 人生そのものがゲームです
 ・イ 幸せって何なのかを考え始めたんですよね
 ・Q 素人の方が工夫をするからいいんです
 ・イ 前に活躍していた選手は復活しないんですか?
第5章 人の気持ちがわかれば、商売のヒントもわかります
 ・イ 若い人から起業の相談を受けたらどう答えますか?
 ・イ 産業界の推移を一部始終見てたんですよね。おそろしい
 ・Q 糸井さんのインターネットのこの先の展開が楽しみです
 ・イ 100万アクセスにはどうすればいいですか?
 ・イ 今は、無料のブローカーとしてやっています
 ・Q まだやらないだけで、すぐにでも商売にはなりますよ
 ・Q 飽きさせないのが「商い」です。
 ・Q インターネットでやれる仕事がわかってきました
 ・イ 人材を集めるコツは、何でしょうか?
 ・Q 「強気8人、弱気2人」で、人と付き合うといいんです
 ・Q 人間の移り変わりは、サイコロのようなものです
 ・イ 苦しみだけを望んでいる人は、半端なことしかできないと思います
 ・Q 苦労したいとは思わないけど、させられるんです
 ・イ ツメの垢を飲んでも元気にはならないですよね
 ・Q 実業と文学の境目に、ネットの読者は惹かれます
 ・Q 商売をするときはどっちつかずではいけません
第6章 自分のセンスと、お金を容れる器
 ・イ 邱さんにとって、「いい」「偉い」って何ですか?
 ・イ 自分の居場所も変化しているのですか?
 ・Q 「人に信用されている」を、いちばん重んじます
 ・イ お金が基準じゃ間違いを起こすだろうなあ
 ・イ 自分を分かることは、できるものでしょうか?
 ・Q 「金を容れる器」の大きい人と小さい人がいます
 ・Q 僕の「お金を容れる器」は、小さくないですか?
 ・Q 仕事が頂点に達する時間が長いほど、繁栄も長いです
 ・イ 人のセンスが、ないがしろにされてきたけれど
 ・イ 座敷牢の逆を実践されてますよね
第7章 未来のことを経験している人は、誰もいないけど
 ・Q 人はもともと、孤独なものでしょう
 ・イ 自分を快く思わない人に、心が痛みませんか?
 ・Q 人を信用できなかったら、仕事は何もできません
 ・イ 邱さんは、どういう風に未来を見ていますか?
邱永漢より、おしまいに
 どんな旅にも必要なもの〜文庫版あとがきにかえて〜

『お金をちゃんと考えることから逃げ回っていたぼくらへ』も9時より

書評

概要

糸井重里さんとお金の神様と言われた邱永漢さんとのお金にまつわる対談本。

最近ホリエモンなどのお金に関する本なども読んでいたので、考え方の差があって面白かったです。

感想や紹介

ホリエモンの方は良くも悪くも「欲望に忠実」で欲望が続く限りにお金を稼いでいく。自分に素直に稼いでいき、自分がいいやと思ったらそこが自分の限界。それまでは人から何を言われようが気にせずに稼いで遊んでいけばいいという考え方。

邱永漢さんの方は比べるともう少し上品。どちらかというと気がついたら稼いでいた。無理して稼ぎ続ける必要はないが自分が面白いと思っていることを続けていると必然的に稼げてしまうので、それを続けているだけ。

ただ、そうは言っても両者の間にも共通する点はあって、そこはうまく説明できないですがそれがお金を稼ぐ人の考え方なんだろうなと思いました。

あとは邱さんの2000年当時にも関わらずインターネットへの考え方がかなり的確なのが驚きでした。

人材ビジネスへの相性がいい点などはまさにその通りに進んでいるので、技術的な点は理解できていないにしても本質をつかむのが上手い人なんだろうなと思います。

心に残ったフレーズや内容

個人的に自分がいちばん気になったのは、自分の子供へのお金の教育方針でした。

節約よりもぜいたくを覚えさせる、お小遣いは月に1回ではなくて年に1回などお金の本質について理解している人はそういうやり方をするんだな、と気づかされました。

おすすめの人

自分のようにお金についての考え方を学ぼうと思っても、現状偏った視点からの情報しか仕入れられなくてもっと別視点から学んでみたいと思っている人におすすめです。両方の角度から見てみることで色々見えてくるものがあると思います。

この本は数年おきに読むとまた感想が変わってきそうな気がするので定期的に読んでいきたいと思います。