【書評】『OKR シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法』OKRの理解と導入の方法が分かりやすく書かれた本

4月 17, 2021

OKR シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法

所属会社でOKRの導入を検討することになって「OKR」とはなんぞや?というところを理解するために読んだ本です。いくつかOKRに関する本はあるのですが、導入本としてはこれが一番適切な気がします。

概要

KPIより断然やる気が出て、大胆な目標も実現する新しいフレームワーク
グーグルも全面採用!シリコンバレーのスタートアップから大企業まで「OKR」の導入・運営を現場でトレーニングしている著者がわかりやすく解説します。
OKRを設定して金曜日に振り返れば、ひとりでもチームでもたった3ヶ月で生まれ変わります!

『OKR シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法』紹介より
著者紹介
クリスティーナ・ウォドキー

クリスティーナ・ウォドキー(Christina Wodtke)
ウォドキー・コンサルティングのプリンシパルとして、企業を洞察段階から実行段階に移行するためのトレーニングを行っている。また、カリフォルニア美術大学とスタンフォード大学夜間講座で、次世代のアントレプレナーを対象に教鞭をとっている。これまで、リンクトイン、マイスペース、ジンガ、ヤフー、ホットスタジオ、イー・グリーティングスなどの企業の再設計と初期製品の販売を主導。さらに、コンサルティングスタートアップを2社、製品スタートアップを1社設立し、デザインを扱うオンラインマガジン、ボックシズ・アンド・アローズを創刊した。インフォメーション・アーキテクチャ・インスティチュートの共同創業者でもある

著者紹介
及川卓也

及川 卓也(おいかわ・たくや)
早稲田大学理工学部を卒業後、日本DECに就職。営業サポート、ソフトウェア開発、研究開発に従事し、1997年からはマイクロソフトでWindows製品の開発に携わる。2006年以降は、GoogleにてWeb検索のプロダクトマネジメントやChromeのエンジニアリングマネジメントなどを行う。その後、スタートアップを経て、独立。企業へ技術戦略、製品戦略、組織づくりのアドバイスを行う。

目次

まえがき
イントロダクション
第1部 実行家の物語
 ・創業の半年前…
 ・CEOのハンナ、上客をもう1社見つけてくる
 ・ハンナ、ピボットを提案する
 ・エンジェルのジムに相談する
 ・OKRを知る
 ・チームにピボットを宣言
 ・ハンナ、テイスティングに参加してキレる
 ・大事なのは品質か、売り上げか
 ・数字について話す
 ・CEOへの不信感
 ・悪い知らせ
 ・再度エンジェルにアドバイスをもらう
 ・エンジニアをクビにする?
 ・契約打ち切りを伝える
 ・時間切れ
 ・さんたんたる結果
 ・ハンナとジャック、CTO候補に会う
 ・OKRをやり直す
 ・目標に近づいた1ヶ月後の金曜日
 ・めでたし、めでたし?
 ・6ヶ月後、重要項目を達成
 ・1年後
第2部 OKRのフレームワーク
 ・なぜ、やり遂げることができないのか
 ・プロダクト・チームのOKR
 ・OKRの実行を習慣にする
 ・OKR設定ミーティングを開催する方法
 ・会社の目標をサービス部門のOKRと結びつける
 ・OKRのスケジュール
 ・MVPのためのOKR
 ・OKRで毎週の状況報告メールを改善する
 ・よくあるOKRの失敗例
 ・OKRと年間レビュー
 ・OKR活用のヒント
あとがきと謝辞
解説 及川卓也
付録 デザイン思考を使ったOKR設定ミーティングの進め方

『OKR シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法』目次より

書評

概要

インテルで生まれてグーグル等でも活用されて大きな成果をあげているというOKRについての本。

前半は実際にOKRを導入した企業について小説のような形で導入時に起こる問題点や浸透していくさまが書かれて、後半は具体的なOKR導入時に何をするかどう導入するか?という説明になっています。

前半が小説というか物語調になっているというのはかなりわかりやすくて、これが後半の説明だけの構成だったら読者の理解度はだいぶ下がったろうなと思います。

組織的なワークフローに関する話なので、何をするか?も重要ですが、どんなトラブルが想定されて、それをどう解決していくか?という方が重要ですね。小説のほうではトラブルを経ながら導入されていく流れなので現実感が強く、導入を検討している人にとってはいいケーススタディになっています。

感想や紹介

自分がいる組織もいままさにOKRを導入始めているのですが、本でも言っているのは「導入してしばらくはほぼ確実に失敗する。しばらくは改善をしながら続けることが大事」といっていて、組織の流れ自体を変更してしまうものなので最初に言ってあるのは重要だと思いました。

グーグルが成功しているから導入しようとしてもそんな簡単なものじゃないぞ、というのは逆に期待値を変にあげていなくて好印象です。

OKR自体はかなり自分としては誤解していました。読む前はよくある目標管理システムの少し先端的なものだと思ってたのですが、そもそも目標の立て方からして全然ちがっていました。さらに目標を立てて評価する流れも四半期だけではなく毎週すすめていくということも具体的な効果が見えそうで、これが運用できれば本当に効果が出るだろうと思われるものでした。

ただ、逆に言えば組織のフローをかなり変更することが必要なので、大企業だったりすでにルールがかっちりできている組織に導入するのはかなり大変だろうなとも思います。本の中には導入の仕方も書いてはありますが。

読むのにおすすめな人

自分としては結構新鮮な考え方だったので、OKRについて何となく知ってる程度以下であればこの本は一度読んでみるべきだと思います。導入するしないは別として組織運営の考え方がだいぶ変わってくる気がします。おすすめです。

クリスティーナ・ウォドキー (著), 及川 卓也(解説) (その他), 二木 夢子 (翻訳)