【書評】『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』お金の未来とその時代の生き方を提案している本

4月 18, 2021

お金2.0 新しい経済のルールと生き方

概要

【発売前重版決定!話題沸騰】
仮想通貨、フィンテック、シェアリングエコノミー、評論経済。
「新しい経済」を私たちはどう生きるか。
メタップス創業者が明かす、資本主義の先の世界。
<「資本主義」を革命的に書き換える「お金2.0」とは何か。>
2.0のサービスは、概念そのものを作り出そうとするものが多いので、既存の金融知識が豊富な人ほど理解に苦しみます。その典型がビットコインです。あまりにも既存社会の常識とは違うので「今の経済」のメインストリームにいる人たちにとっては懐疑や不安の対象になりやすいといった特徴もあります。そして、それこそが全く新しいパラダイムであることの証でもあります。本書ではまずお金や経済の仕組みから、テクノロジーの進化によって生まれた「新しい経済」のカタチ、最後に私たちの生活がいかに変わるか、の順番に解体していきます。

『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』紹介文より
著者紹介
佐藤 航陽

佐藤 航陽(さとう・こうよう)
福島県生まれ。早稲田大学在学中の2007年に株式会社メタップスを設立し代表取締役に就任。2015年に東証マザーズに上場。フォーブス「日本を救う起業家ベスト10」、AERA「日本を突破する100人」、30歳未満のアジアを代表する30人「30 Under 30 Asia」などに選出。2017年には時間を売買する「タイムバンク」のサービスの立ち上げに従事。宇宙産業への投資を目的とした株式会社スペースデータの代表も兼務。

目次

はじめに
第1章 お金の正体
 ・3つのベクトルが未来の方向性を決める
 ・急激に変わるお金と経済のあり方
 ・お金とは何か?
 ・お金が社会の中心に位置づけられた資本主義
 ・中央銀行の仕組み
 ・仮想通貨は鏡の世界?
 ・膨大なデータから見えてきた「経済システム」の構造
 ・経済とは「欲望のネットワーク」
 ・人の手で経済は創れるか?
 ・発展する「経済システム」の5つの要素
 ・経済に持続性をもたらす2つの要素
 ・ビットコインに感じた「報酬設計」の秀逸さ
 ・「経済システム」の活用
 ・持続的に成長する組織の条件
 ・勝手に拡大するサービスを作るには?
 ・「シャオミ」に学ぶ経済圏の作り方
 ・経済と脳の深い関係
 ・進化する、脳が欲する「報酬」の種類
 ・脳は飽きやすい - 変化と不確実性
 ・快感は他人との比較によって高まる
 ・ゲームとは報酬回路を人工的に刺激する「優れた装置」
 ・快楽物質は強力すぎる諸刃の剣
 ・「自然」は経済の大先輩
 ・経済と自然の根底にある同一システム
 ・企業経営を通して学んだ「ビジョン」の重要性
 ・有機的なシステムとしての経済
 ・マトリョーシカ人形のような入れ子の構造
 ・自然の秩序に反したルールの危険性
 ・ダ・ヴィンチには見えていた"ひとつの世界"
第2章 テクノロジーが変えるお金のカタチ
 ・テクノロジーの変化は点ではなく線で捉える
 ・今起きているのはあらゆる仕組みの「分散化」
 ・分散化する社会とシェアリングエコノミー
 ・中国がリードするシェアの世界
 ・「評価経済」でまわる中国
 ・国家を代表するトークンエコノミーの可能性
 ・トークン化する世界
 ・完全に分散した経済システム:ビットコイン
 ・「自立分散」という次世代の成功モデル
 ・AIとブロックチェーンによる無人ヘッジファンド
 ・中国の無人コンビニ
 ・テクノロジーによって経済は「作る」対象に変わった
第3章 価値主義とは何か?
 ・限界を露呈し始めた資本主義
 ・資産経済の肥大化と金余り減少
 ・お金にはなりにくい「価値」の存在
 ・社員の満足度を投資判断の材料にするファンド
 ・資産としては認識されないデータの「価値」
 ・資本主義から「価値主義」へ
 ・「価値」の3分類
 ・資本主義の問題点をカバーする「価値主義」
 ・「共感」や「感謝」などの内面的な「価値」の可視化と流通
 ・「評価経済」の落とし穴
 ・社会的な価値・ソーシャルキャピタルの可視化
 ・営利と非営利の境界線が消える
 ・経済と政治の境界も消える
 ・ベーシックインカム普及後の、「お金」
 ・「経済」は選べばいい
 ・複数の経済圏に生きる安心感
 ・「時間」を通貨とする経済システムの実験
 ・タイムバンクとVALUの正体
 ・デジタルネイティブからトークンネイティブへ
 ・「価値主義」とは経済の民主化である
第4章 「お金」から解放される生き方
 ・人生の意義を持つことが「価値」になった世代
 ・若者よ、内面的な「価値」に着目せよ
 ・「儲かること」から「情熱を傾けられること」へ
 ・「人間の心は放っておくとすぐサビる
 ・「お金」のためではなく「価値」を上げるために働く
 ・枠組みの中での競走から「枠組み自体を作る競走」へ
第5章 加速する人類の進化
 ・お金にならなかったテクノロジーに膨大なお金が流れ込む
 ・電子国家の誕生:エストニア
 ・宗教と価値主義
 ・「現実」も選ぶ時代へ
 ・人類の経済圏は大気圏を突破する
 ・「お金」は単なる「道具」である
おわりに

『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』目次より

書評

概要

メタップス代表取締役である佐藤航陽さんが書いたお金についての本。

単なるお金儲けするには?というのではなく、そもそもお金とはなんなのか?その歴史は?から始まり、お金の未来とその時代にどう生きていくのか?についてが書いてあります。

感想や紹介

読んでみて思ったのは、思ったよりも教養としてためになる話が多かったです。

第1章のお金の正体についてはお金の歴史から始まって、お金とはどういうものなのか?について書いてあるのですが、最終的に経済の話まで進み、自分も初めて知ったような内容が多かったです。

第2章ではテクノロジーによって、今までの貨幣経済からブロックチェーンなどの新しい形に進歩しているお金についての説明になっています。こちらは似たような本で結構語られている内容が多いです。

第3章ではそもそも資本主義自体が今の時代には徐々に合わなくなってきているのではないか?ということで新しい形の「価値主義」というものが普及し始めていることの説明になっています。合わせて実際にメタップス社が事業として行なっている時間を価値としている「タイムバンク」や「VALU」について事業者としての考えも交えながら説明しています。

第4章では価値主義の時代でどういう生き方をすればいいのか?という話になり、「儲かること」ではなく、自分にとっての「価値あること」に対して進めていくことが重要な時代になると指摘しています。

最後の第5章では、さらにその後お金はどうなっていくのかについてかなり先のお金の話になっていきます。ブロックチェーンやVRなどが普及するとそもそも今の国という枠組み自体も変わり、さらに人類の活動圏が宇宙にまで広がることで、今では想像もつかない方向に広がっているのだろうと語っています。

おすすめな人

冒頭でも書きましたが、お金を儲けるためではなく、お金とは何か?その歴史やその未来、その時代の行き方など少し広い範囲でお金について学びたいと思っている人にはオススメの本です。