【書評】『宇宙に外側はあるか』なぜ?の説明があるので理解しやすい宇宙論の本

自分は宇宙好きではあるのですが、宇宙好きでも天文が好き、宇宙開発が好きとか色々ある中で自分は宇宙論が好きなのでこういう本は定期的にチェックして読んでます。どうしても基本の説明から入るのである程度似た内容になるのが多いのですが、これは結構分かりやすいと思ったので紹介します。
概要
なぜ宇宙は存在するのか―。この宇宙は奇妙な謎に満ち溢れている。しかし、現在、人類の宇宙を見る目は大きく開かれつつある。いま、宇宙の何がわかっていて、何がわかっていないのか。宇宙の全体像とは?宇宙の「外側」とは?現代宇宙論のフロンティアへと旅立つ一冊。
「BOOK」データベースより

松原隆彦(まつばら・たかひこ)1966年長野県生まれ。名古屋大学素粒子宇宙起源研究機構・准教授。京都大学理学部卒業。広島大学大学院理学研究科博士課程修了。博士(理学)。かつて広島県竹原市にあった広島大学理論物理学研究所に、最後の大学院生として所属。東京大学大学院理学系研究科・助手、ジョンズホプキンス大学物理天文学科・研究員、名古屋大学大学院理学研究科・助教授などを経て、現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
目次
プロローグ
『宇宙に外側はあるか』目次より
第1章 初期の宇宙はどこまで解明されているか
1.過去の宇宙からのメッセージ
2.宇宙観測は天然のタイムマシン
3.劇的だった宇宙マイクロ波背景放射の発見
4.宇宙が晴れ上がると光はまっすぐ進む
5.温度ゆらぎを物理学で解読する
6.難しかった温度ゆらぎの観測
7.宇宙が38万歳だった時の姿
8.初期の宇宙をニュートリノで撮れるか
9.初期の宇宙を重力波で撮れるか
10.物質を形作る元素はいつできたのか
11.さらなる初期の宇宙へ向かって歩を進める
第2章 宇宙の始まりに何が起きたのか
1.標準宇宙論を超える
2.物質の起源、いまだわからず
3.統一へと向かう基本法則の探究
4.大統一理論への夢と現実
5.力が分岐する魅力的な考え
6.インフレーションは宇宙の救世主か
7.インフレーションの原因をめぐって
8.インフレーション宇宙は無数にあるかもしれない
9.インフレーションが起こらなかった可能性も
10.ストリング理論の対抗馬、エクピロティック宇宙論
11.一般相対性理論と量子論を同時に考えると…
12.宇宙は「無」から始まったのだろうか
13.そもそも時間とは何なのか
第3章 宇宙の形はどうなっているのだろうか
1.宇宙飛行士の行く宇宙は地球のごく近傍
2.太陽系の大きさとは
3.夜空に見える星の遠さ
4.天の川銀河系の姿
5.銀河のいろいろ
6.銀河群、銀河団、超銀河団
7.複雑な宇宙の大規模構造
8.見えない宇宙の全体構造
9.2次元空間で宇宙の形を考えてみる
10.3次元空間を持つ実際の宇宙の形とは
11.宇宙空間が奇妙な繋がり方をしている可能性も
第4章 宇宙を満たす未知なるものと宇宙の未来
1.宇宙の形と足りないエネルギー
2.正体不明の物質、ダークマター
3.宇宙の膨張は加速している!
4.世紀をまたぐ謎、ダークエネルギー
5.宇宙の未来I : 永遠に宇宙膨張が続く場合
6.宇宙の未来II : 膨張から収縮に転ずる場合
7.宇宙の未来III : 破滅的な宇宙膨張が起こる場合
第5章 宇宙に外側はあるか
1.ブラックホールの向こう側には何があるか
2.ワームホールはタイムマシンになる
3.タイムパラドックス
4.タイムマシンと並行世界
5.量子論の解釈問題 : 観測の瞬間に何が起きているか
6.いまだに解けていない解釈問題
7.量子論の多世界解釈と並行世界
8.この宇宙は生命活動にちょうどいい
9.炭素が存在するというありえない偶然
10.この宇宙が存在するためのあり合えない微調整
11.人間原理をめぐって
12.マルチバースの世界
13.マルチバースの存在とは
14.存在するかしないか、それが問題
15.存在可能な宇宙と実際に存在する宇宙
16.マルチバースは存在しない?
17.時間や空間は本当に存在するか
18.未来へ向かって
書評
概要
宇宙論についての出版当時の最新の研究結果をふまえながらほぼ数式無しで文系の人にも分かりやすく説明した本。
こういう本はいろんな宇宙系の学者から定期的に出版されてほぼ似たような内容になるのですが、
この本が他の似た本と違うのは圧倒的に理解しやすい流れになっていることですね。
感想や紹介
他の本では端折っているような本でも、分かりやすく丁寧に「なぜこうなっているのか」を
きちんと分かりやすく説明してくれるので理解がかなり進みます。
自分もこういう本はかなり読んでいるのであまり新しく身につく知識はそれほどないのですが、
この本ではそういった隙間を埋めるような部分がかなり多くありすごくためになりました。
展開としては「宇宙の外側はあるのか」というタイトルにもあるように
宇宙の成り立ちに関する内容がメインで、それに伴って量子論や並行宇宙などの説明に移っていきます。
この本ではさらに「存在する」ということは何なのか?というところまで踏み込んでいるので、
途中から哲学書?という感想にもなるのですが、
このレベルになってしまうともはや宇宙論は科学でありながら哲学の領域にもなってしまうんだというのが伝わってきました。
読んだ方がいい人
2012年出版の本なので、まだ重力波の観測に成功していないという表記があったりますが
それでもかなり分かりやすくまとまっているので、宇宙論が好きな方はオススメです!
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