【書評】若田光一 日本人のリーダーシップ

概要
2014年7月からのおよそ5か月間、自身初の宇宙飛行で長期滞在を行った油井亀美也は、’09年に日本の宇宙開発を担うJAXAによって選抜された。油井が選ばれた背景には、日本の悲願達成への明確な狙いがあった。それは、国際宇宙ステーションの「船長」、すなわち世界を率いるリーダーとなれる人材の獲得である。その船長に日本人として、またアジア人として初めて就任し、’13年11月からの半年に及ぶ宇宙でのミッションを見事果たした若田光一。米露を中心に行われてきた宇宙開発の長い歴史の中でなぜ今、若田が選ばれたのか?日本人は本当に世界のトップとして通用するのか?リーダーの資質とは一体何か?―大好評『ドキュメント宇宙飛行士選抜試験』の著者二人が、若田への密着取材を通じ日本人にとっての永遠のテーマに挑む!(「BOOK」データベースより)
目次
第1章 日本人「船長」の誕生
第2章 船長の仕事
第3章 緊急対処訓練
第4章 自分を客観視する力
第5章 「和」の調整力
第6章 試される日本人のリーダーシップ
第7章 次代の船長のために
おわりに
書評
若田さんが宇宙飛行士としてISSの船長に選ばれてから、リーダーになるための訓練を通して日本人が国際社会でリーダーシップを発揮するにはどうしていければいいのか?というのをテーマに描いたドキュメンタリー
若田さんのいう「ISSの船長というのは「課長」なんです」というのはすごくわかりやすい表現。確かに地上の管制(上司)とISSにいる他の宇宙飛行士(部下)に間に立って、時には板挟みにあいながらも任務をクリアしていくというのはいわゆるサラリーマンの中間管理職だと思う。
本書でも書かれていますが、若田さんがリーダーになるにあたって意識していた「和」というのは共感力や気遣いの能力が高い日本人全般にとっても本当に重要だと思います。ここは日本人が誇っていいポイントかと。
あと、気になったのはISSの船長になるにあたっての能力として「危機管理能力」があること。つまり実際に危機に遭遇した時に、いかに冷静に状況を把握し、チームや周りを動かしながらその危機を脱出していけるか?という能力なんですが、それは今までの日本人宇宙飛行士には欠けていて若田さんもそこが一番の課題とされていました。
これは実際の会社などにも当てはまると思っていて、普通にサラリーマンしているとそこまでヤバイ状況ってほとんど会わずにいられるので、いざその状態で出世して危機を迎えた場合に若田さんのように準備ができていないので、あたふたして終わりだと思うんですね。この本では、元々危機管理能力が備わっている元パイロットを新人宇宙飛行士として採用することで回避していますが、会社に置き換えると起業経験者とか個人事業主経験者とかになるんだと思います。こういう人がいないと難しいんだろうな、と。
という感じで宇宙開発や宇宙飛行士に興味がある人にも面白いし、ビジネス書っぽい使い方もできる本なのでかなりオススメです!
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